はじめに
「頭皮も顔とつながった一枚皮だから、同じように保湿すればいい」
そう思っていませんか?
確かに構造やpHバランス(弱酸性)は似ていますが、実はこの2つ、「皮脂の量」と「環境」があまりにも違うため、同じケアをすると逆効果になることがあるのです。
今回は、意外と知られていない「頭皮と顔の決定的な違い」と、それを踏まえた「正しい頭皮ケア」について深掘りします。
1. 衝撃の事実!頭皮は顔の◯倍脂っぽい?
まず知っておくべきは、頭皮の特殊性です。
生理学的に見て、頭皮と顔(特に額)には圧倒的な環境の差があります。
• 皮脂量は顔の1.5倍以上
データによると、頭皮の皮脂量は額に比べて50%以上も多いことがわかっています。体の中で最も皮脂分泌が活発な「油田」地帯なのです。
• 「乾燥」の理由が違う
顔の乾燥は単純に「油分・水分不足」が多いですが、頭皮の乾燥は「皮脂は多いのに、バリア機能が壊れている」、あるいは「洗いすぎで皮脂を取りすぎている」という複雑な原因がほとんどです。
2. そのフケ、「乾燥」じゃないかも? 2つの危険なサイン
頭皮トラブルで一番怖いのが、「乾燥だと思って保湿したら、実はカビ(菌)が原因で悪化した」というケースです。
見極めのポイントは「フケの質」にあります。
① パラパラした白いフケ(単純性乾燥)
• 症状: かゆみ、つっぱり感、乾いた細かいフケ。
• 原因: 洗いすぎ、熱いシャワー、紫外線などでバリア機能が低下している状態。
• 対策: 「守る」ケア(保湿)が必要です。
② ベタつく黄色いフケ(脂漏性皮膚炎)
• 症状: 強い赤み、かゆみ、湿った大きなフケ。
• 原因: 皮脂をエサにする常在菌「マラセチア」**の異常増殖。
• 対策: 「治す」ケア(抗菌)が必要です。
• ⚠️ 注意! ここで「乾燥しているから」と油分たっぷりのオイルなどを塗ると、菌にエサを与えることになり、炎症が悪化する「二重の罠」に陥ります。
※比較的乾燥系の方が多い傾向があります
3. 【わかりやすい例え】頭皮は「花壇」ではなく「密林」である
この違いをイメージで理解しましょう。
🌸 顔の皮膚は「花壇」
水と肥料(油分)を与えれば花は美しく咲きますが、少しでも水が切れるとすぐに土がひび割れてしまいます。だから「補給」が最優先です。
🌳 頭皮は「密林の土壌」
木々(髪)が生い茂っているため、湿気がこもりやすくジメジメしています(高皮脂)。ここに無闇に水を撒くと、カビ(菌)が生えて腐葉土になってしまいます。
必要なのは水やりよりも、「適度な風通し(正しい洗浄)」と「生態系のバランス調整(菌対策)」なのです。
4. 今日から変える! 頭皮専用のケア戦略
「密林」である頭皮を健やかに保つための、3つの具体的なアクションプランです。
✅ 洗う:「適温」と「湯洗い」が命
• 温度は38℃〜39℃
40℃以上のお湯は必要な皮脂まで溶かし出し、乾燥を招きます。「ちょっとぬるいかな?」くらいがベストです。
• 予洗いをしっかり
シャンプーをつける前に、お湯だけでしっかり汚れを流しましょう。これだけで汚れの7〜8割は落ちるので、洗浄剤の負担を減らせます。
• 1日1回で十分
洗いすぎは禁物です。
✅ 補う:クリームではなく「ローション」
• 顔用のクリームは頭皮には重すぎます。毛穴を詰まらせたり、ベタつきの原因に。
• 頭皮には「ローション」や「スプレータイプ」を選びましょう。成分は「セラミド」などが配合された、バリア機能を補うものがおすすめです。ドライヤー前のタイミングが効果的!
✅ 治す:違和感があればすぐに方向転換
• かゆみがひどい、フケがベタつく場合は、セルフケアで保湿するのをやめ、「抗真菌薬(マラセチア対策)」入りのシャンプーや薬の使用を検討してください。
• 放置すると、抜け毛や薄毛の原因にも直結します。
まとめ
頭皮ケアで大切なのは、顔のように「とにかく保湿!」と飛びつくのではなく、「皮脂は多いけれどデリケート」という頭皮の性格を理解してあげることです。
• 洗いすぎていないか?
• 菌が増えやすい環境になっていないか?
今夜のバスタイムから、ぜひ「密林の管理者」になったつもりで、頭皮をいたわってあげてくださいね。
※あくまでも一般的な例です。お一人おひとり状態や生活スタイルも違う、個人差が大きいものなので、ご自身で判断しきれない時は担当美容師や皮膚の専門家にご相談下さい。
次回はおすすめの頭皮ケアを紹介します